YASさん ~The World~

デザインから日常から~

KAWASAKI


バイク便には大きく分けて「チャーター」と「スポット」が存在する。チャーターは比較的近場(大阪市内~府内)をメインに配送する。スポットはその逆、大阪府外への遠方をメインに配送する。
これは二十歳の時にスポットバイク便として働いていたYASさんのバイクにまつわるお話し。








ある日、川崎重工業本社への配送が回ってきた。当時からKAWASAKI好きだった自分としては、いくら仕事とは言えその本社へ赴くというのはテンションが上がった。距離的にも大阪市内から片道50~60㎞。配送料金や往復の時間等を考えても「おいしい」仕事だった。

だがそんな自分とは裏腹に、周りの先輩達は「あーあ、KAWASAKIかー、お疲れw」みたいな態度。なにかあるのかと聞いてみても「行けば分かる」の一点張りで何も教えてくれなかった(ぶっちゃけ単なるイジワル)。

そんなこんなでとりあえず川崎重工業本社に到着。ただただデカくて広い!でもその周りには家も店もほとんど何も無くて、犬の散歩してるオッサンが一人いるかいないかぐらいだった。ようこそKAWASAKIへ!みたいな雰囲気も全く無く、なんか凄く静かだった。
※もう10年以上前の事なので、今どうなってるのかは知りません。

まーまー、そんな事はどうでもいい。とにかくKAWASAKIに来た!という事でテンションが上がる。荷物抱えて歩いてれば、もしかしたら展示車とかチラッと見えるかもなー、デュフフwwwという具合である。

いざ!KAWASAKIへ!!








即座に守衛の人に止められた。

YAS「毎度です!バイク便です!荷物のお届けに参りました!」

守衛「あ、そう、ところで君が今乗ってるバイクってKAWASAKI?」

YAS「えっ、いや、違いますけど…」

守衛「あー、じゃあ敷地内に入らないでくれる?そこ、外に止めて。中から見えないように壁際に」

YAS「あ、はい、すんません…」

(言われた通り外にバイクを止め、ヘルメットを脱いで再び守衛の元へ)

YAS「すいません、お待たせしました。えーっと開発部の◯◯さん宛で、何処に行けb」

守衛「いや、いいよ。ここで預かるから」

YAS「いや、でもお留守で無ければ基本的には御本人へ届けてサイン頂く事になっt」

守衛「あー、そういうのいいから。ここで預かるから。本人さんへは後で連絡してこっちで渡すから」

YAS「そうですか…じゃあサインを…」

守衛「(サインしながら)ところで、君乗ってるバイク、あれなんてバイク?」

YAS「あ、ホーネットです」

守衛「ふーん、そんなバイク知らんなァ。どこのメーカー?」

YAS「……HONDAです……」

守衛「あっそ」








っていうね!!酷い扱いを受けました!!

後で先輩達に聞いたところ、KAWASAKIのバイクなら凄い笑顔で迎えてくれて、敷地内にもそのままバイクで入って行けるそうなんですけど、KAWASAKI以外のバイクで行くと上記のような扱いを受けるンだそうです。いや!マジで出発前に教えてくれよ!って感じです。

今じゃ自分の好きなメーカーの好きなバイクでバイク便やってる人も多いですけど、昔は「バイク便と言えばHONDA」ってのが常識レベルだったンですよ。丈夫だからね。10万㎞以上は走るからね。逆に一番ダメだとされていたのがKAWASAKI。故障が多いからね。10万㎞とか奇跡だからね。

そりゃ自分の会社のバイクじゃなければ通したくはないだろうけどさ、こちとらバイク便だよ。しかも10年以上前だよ。HONDAのバイクに乗ってるYASさんを責めるンじゃなくて、バイク便に選ばれない自社のバイクを責めてほしいよ!!全く!!








まァでも、今も昔もYASさんはKAWASAKIのバイクが一番好きです。