YASさん ~The World~

デザインから日常から~

アイデア捻出


前回(前々回?)の「トライバルの描き方」の続編として、今回はアイデアの出し方について綴っていきます。

これに関しては才能や感性が凄く重要になってくると思います。それを言えば画力も似たようなものなんですけど…。
イデア=想像(妄想 )力です。私の場合、デザインする上で最も恩恵を受けたと自分で思えるのはここですね。言わば、創造性100の画力0って感じです。RPG等に例えるなら、力とHPは9999だけど、魔力が0だから魔法の類いは一切使えない脳筋タイプのようなものです。その逆も然り。

まァでも、今回はアイデアの捻出方法の話しなので脳筋とかMPオバケの話しは置いておきましょう。訓練出来る事ですから。







才能や創造性は抜きにして、とにもかくにもまずは「知識」です。トライバルは勿論、タトゥー、ゼンタングル、花言葉、神々や神獣、家紋、紋章、十二支、星座、フォントまで、あらゆる「モチーフが存在する」という事を知っておくべきです。いつでも出せるように、どんなモチーフとの組み合わせも考えられるように頭に入れておきましょう。見たことがあるというだけでも、何も知らないよりは立派な武器です。

例えば「りんご」と言われた時に、そのワードから連想される事がどれだけ思い浮かぶでしょうか?漢字で林檎?苹果?赤?緑?名産地?品種?旬?アダムとイヴ?ニュートン?色んな事が浮かぶと思います。更にこれを絵で描こうとした時には、木?葉っぱ?芋虫?歯形?切り方?など、ただ「りんご」を描くだけではなく、角度や色や大きさや個数やシチュエーションなど、それこそメチャクチャ頭の中に連想されるものが出てくるハズです。

はい、これが知識です。一見すると何の意味も無いように思えるトリビア的な事だとしても、知識の分だけデザインの引き出しは増えます。もしクライアントさんから「りんごを描いてほしい」と言われて、ただりんごの絵を描いただけなら幼稚園児のそれと変わりません。どんなりんごを描くのか、上記のように引き出しがいくつもあればクライアントに提案が出来ます。ざっくり言うとこれが「アイデア」の出し方です。

当たり前に思うかも知れませんが、意外にもこれが出来ない人は結構多いです。
なんでもいいので、今この記事を読みながら簡単なモチーフを頭に思い浮かべて、そこからいくつ連想出来ますか?それが例えば「星」だとしましょう。誰もが真っ先に思い浮かべるであろう「☆」を描けばいいのであればデザイナーなんて必要ありません。スマホでも「ほし」と打てば「☆」が出てくるンですから。
※星ならちなみに、星座、ノーティカルスター、五芒星、六芒星、流れ星、一番星、方位(方角)、占術など、色々と引き出しは出てきますね。







知識を得るのにいい方法としては、やはり本を読む事です。ただし、小説のような文章だらけのものを読めというワケではありません。今ではグラフィックデザイン用にCD-ROMのついた本もあります。そういうのを見ていると思わぬ知識が入ってくる事があります。
(ネットは特定の物を詳しく調べる為に使うのには適していますが、幅広くという意味では少し違うような気がするので、個人的には本をオススメします)

あと、ここまで書いておいてアレなんですけど、この記事自体は「トライバル」を描く上でのアイデアの出し方について綴っていますので、ご了承くださいね(遅いわ!)

えーっと、なので、タトゥー系の雑誌は知識を得るのにはもってこいです。様々なモチーフが紹介され、そのモチーフの意味もしっかり記載されています。親切な彫り師さんであれば、そのスタジオのHPを見に行けば数多く紹介してくださっているので、そういうのに一通り目を通しておくのはありです。勉強になります。

その他、マーケティングやデザイナー会社の会議などで使われている、一般的なアイデアの出し方もあります。

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(kj法という付箋を使ったやり方)

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(マルチ商法の図でよく見られるやり方。名前は覚えてません、すみません。マジカルバナナみたいな方法です)

これらはグループワークでのアイデアの出し方に使われる方法ですが、勿論個人でもありだと思います。クライアントさんとの打ち合わせの時にも使えるかも知れませんので、まァ知っておいても損は無いかと思います。








と、最後にもう一つ、これは私の職業病に近いものなのかも知れませんが、よほどでなければどんな物でも「もし自分がトライバルで描くとしたら~」を頭の中で考えます。ほぼ無意識ですね。前を走っている車のナンバープレートを見て、全ての数字を足したり語呂合わせしてみたりする感覚に近いです。

序盤で例に出した「りんご」もそうです。あらゆる連想される事を考えながら、はたまたネットで「りんご」そのものを調べてみたり、りんごの木(花)には花言葉はあるのだろうか…とか。
他の方の作品を見ても「自分だったらどう描くか」「ここはもう少し細かくしたほうがいいンじゃないかな~」とか、そんな事ばっかり考えてます。訓練というよりは病気に近いレベルですねww

しかし、これを続けていく事で自然と創造性は養われます。自分の周りに何がありますか?椅子?テレビ?照明?それらをトライバルで描くとしたら…を考えてみてください。その時に、マジカルバナナのように照明と言ったら光~光と言ったら眩しい~眩しいと言ったら~と、どんどん幅を広げていってみてください。そのぶんだけアイデアは広がります。
kj法を使うなら、シーリングライト(天井照明)か、スタンドライトか、懐中電灯か、などあらゆる照明を、書き出して種類別にして、そこから更にどんな種類の物があるか導き出せばいいンです。結果として、CafeやBarにあるようなシーリングファン(画像参照)が答えとして出てくるかも知れません。

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(シーリングファンライト参考画像)







そして、これはアイデアの出し方というより描き方に近いのですが、いいと思ったデザインは目一杯これでもか!ってぐらい盗みましょう。先人達の生み出したデザインですから、洗練されているに決まってます。
「パクり」と言えば聞こえは悪いですが「憧れていたから真似をした」と言えばいいのです(オイ)。

実際、ゴッホだのゴーギャンだのモネだのルノワールだの、あのへんの著名な画家達も、先代の画家達の影響を受けて、それを真似しながら自分のスタイルを確立していったンです。印象派とか聞いたことあると思いますけど、あれに個人の思想や宗教的な意味合いをつけていって個人の描き方へ昇華していった人達ばかりですから。ましてやトライバルの世界なんて、いくらでも真似(参考に)したくなる人はいるハズです。

臆せず盗みましょう(そりゃまァ本人に許可を取るのに越したことはないけども)。








そして、これはまァ私がクライアントさんとの打ち合わせの時にほぼ必ずと言っていいほどお聞きしている事なのですが、例えば「犬を描いてほしい」と。そしたら

①全身なのか顔だけか胸までか
②口は開けるのか閉じるのか
③正面か、横向きなら左右のどちらか
④上を向くのか下を向くのか
⑤目は描くのか、描くなら喜怒哀楽は
⑥全身描くなら姿勢は立ちか座りか

…と、まァ「犬」だけで最低でもこのぐらいの質問はします。これも一つの「アイデアの出し方」です。正確には煮詰め方なんですけど、それはもうこの際放置で。。







他にはそうですねェ…どんな些細な事でも日頃からメモを取る習慣を作る事は肝要だと思っています。日常のふとした中にアイデアは転がっていますから。

花に止まっている蜂、夜に月明かりで照らされた猫、ふと音楽のように聞こえた風の音。旅先のその土地で有名な戦国武将の兜や槍。建設中の家の骨組み、雑貨屋で見つけた変わった懐中時計の文字盤、テレビに映し出された海外の荘厳な教会や寺院、全てインスピレーションに繋がるものです。

夢で見た景色でもいい。ふと見上げた空の雲の形でもいい、アイデアの宝庫です。









長々と書きましたが、アイデアの出し方はこんなもんでしょうか。細かく言えばもっとあると思いますが、現時点では思い付かないのでもういいです(適当)。

知識を得て、インスピレーションを大事にしてきたので、クライアントさんとの打ち合わせ時には即座に対応出来るので、その場でデザインの構図やら配置やらは決まります。っていうか決めます。

まァ、そこまで思い詰めなくても、私の場合はモチーフやら構図やらが全て完成したような状態のがフッと頭に降りてくるので、そんなに考えるような事は無いンですけどねwww
お陰でアイデア帳が溜まりまくる一方で全く昇華しきれません。これはこれでしんどい。。