YASさん ~The World~

デザインから日常から~

初施術を終えて(追記)


初めてトライバルに興味を持ち、自分で描いてみようと思ったのは中坊ぐらいの時だったと思う。今みたいにスマホやPCはおろかガラケーすら持っていない時だ。
「トライバル」という単語がやっと分かっても、それ以上は何も調べようがなかった。だから、なんとなくのイメージや、どこかで見たことのあるネオトラを思い出しながら、バイクのタンクに描かれているファイヤーパターンのようなものを描いていた。

タトゥーも似たようなもので、どういう原理でどうやって彫っていくのかや、実際に彫っている動画は出てきても、マシンのセッティングや施術前の管理など、1から10まで丁寧にレクチャーされてるものなんてほとんど無い(私が知らないだけかも知れませんけど…)。

しかし、此度の自分への施術は、彫り師さんがマンツーマンで全て教えてくれた。








施術の前に、まず身の回りの物やお客さんが触れるであろう箇所へ使い捨てのシートを敷いたり巻いたりするところから始まり、施術時に使う道具の種類やその詳細、マシンへの針の付け方や針の特徴、マシンの使い方やインクの補充方法など。
施術が始まると、マシンの持ち方や針の入れ方や速度や角度、ワセリンやキッチンペーパーやウェットティッシュの使い道やそのタイミング、線の引き方や肌へのインクの残り方、本当に0から100まで全てだ。

施術が終わってからは、自分(彫り師さん)が初めて彫った時の体験談など色々と話してくれた。
右も左も分からない状態からスタートし、肌に上手くインクが入っただけでも感動したと。針の入れ方や線の引き方も、勿論衛生的な事に関しても全て自分の身体を実験台にしながら探り探りでやってきたと。

「YASくん本当に初めてとは思えないぐらいメチャクチャ上手い。普段からミリペンで描いてるからこそってのもあるンやろうけど、俺がそのレベルに達するまで、多分一年はかかった。早い人でも恐らく半年ぐらいはかかる。今まで見てきた初彫りの中でも一番キレイやで」と。

それでも、普段から描いている作品と比べてしまうと差は歴然で、どれだけ誉められても少なからず悔しかったりはする。使っている物も違えば環境も状況も何もかも違う。初めての経験で痛みや緊張もあるので仕方ないというより当たり前のような気もするが…

贅沢を言い過ぎるのもアレなのでこのへんにしておくが、初タトゥーがそこまで誉めてもらえるレベルのものに仕上がったのは、まァ自分のデザイナーとしての歴やプライドもそうなんだけど、なによりも彫り師さんの指導があったからこそである。なければ絶対無理だ。それこそ、彫り師さんの体験談と同じように、恐らく肌にインクを残すのが精一杯だったと思う。

最近だとタトゥーの講習会なんかも地域やスタジオによっては開催されているらしいが、正式に弟子入りをしたワケでもなく、講習料や施術料などもなく、ここまで丁寧に教えてもらえたのは本当にありがたい。そしてメチャクチャ貴重な経験となった。前回の記事でも書いたが、彫り師さんへは心から感謝してます。








うーん、なにが言いたいかと言うと、トライバルデザインも同じようなもんだと思うってこと。

これも前回の記事と重複してしまうのだが、やはり直接教えてくれる人がいるというのは本当に大きい。
タトゥーの場合、そもそも私自身がタトゥーに興味があり、仕事柄最低限の知識は入れておくべきだと思い自分なりに学んだ事や、自身がタトゥーを入れているという点は非常に大きい。彫り師さんとしても、専門用語が分かるだけで教えるのは少し楽だったと思う。っていうかそう言ってたしね。

これをトライバルに置き換えると、トライバルと呼ばれる絵の特徴や地域や柄なんかの知識が少しでも入っていれば、あとは「描き方」を教えるだけでいいから凄く楽なのだ。勿論アナログに限るけども。
例えばミリペン。同じ太さのペン先であっても、メーカーによって黒のインクの濃さや滲み具合は違う。定規で線を引く時やコピックマーカーとの相性もある。線の引き方一つ取っても、理解(意識)しているかどうかで綺麗さは全然違ってくる。

線の引き方だけで言えば、右から左か、左から右か。上から下か、下から上か。時計回りか反時計回りか。自分の得意な「向き」や「角度」はあるハズだし、筆圧だって人それぞれ違う。
デザイン自体も、モチーフやテーマによって意味合いの付け方やその調べ方や引き出し方、対クライアントとなると意見や考えの引き出し方やアイデアの提案方法など、あらゆる面で「学べる」事はきっとあると思う。

初のタトゥー施術で教わった内容は、言わば彫り師さんがこれまで自身で体験してきた「何十年」という実績を教わったのと同義だ。本来ならば、本を読み漁りネット検索を繰り返し、マシンやその他必要な道具を全て購入し、何回何十回、何年何十年と経験や思考錯誤するところを、全部すっ飛ばして初の施術で全部教わったのだ。








まァ要するに、本当に凄い体験をさせてもらったってのと、師匠や先輩って存在は大きいってこと。マジで前回の記事と同じような内容になってしまったけど、それだけ何度も言いたかったってこと。

あとは、施術時にどんな事をどんな風に教わったのかを、もう少し詳しく記事にしておきたいなと思ったから、かな。

最後に動画を載せておこうと思ったンやけど、やっぱり動画は無理みたいやね。長いし。わざわざ別のサイトに貼り付けてリンク先を~ってするのも面倒だからやりまへん。観てみたいって人は直接連絡を。