YASさん ~The World~

デザインから日常から~

デザイン(最終章)


最終章、具体的な「描き方」について綴っていきます。あくまで私個人の、そしてトライバルを描く際の方法や手順であるという事を理解した上で読んで頂ければと思います。

全て真似すればYASさんと同じようなものは描けるだろう、ってぐらいの次元で全て暴露していきますよー。自分の手順や気を付けている事を思い出しながら事細かく説明していきます。では参りましょー。

物語(特に4コマ漫画)に置ける起承転結のようなものがデザインをする上でも存在します。天才肌のアーティストさん達はあまり、というかほとんどその手法はわざわざやってらっしゃらないみたいですけどね。
その才能うやましいな~とか、単純に凄いな~みたいな、雲の上の存在過ぎてついて行けねェぜ~、みたいな、自分とは次元も土俵も違うンだ…ぴえん…みたいな状況を理解・悲観・諦めつつ進めていきます。こんな内容でも、誰かの参考や勉強になるように願いを込めて。。

はい、上記の内容は全て忘れて、まずYASさんがデザインする際の順序やそのやり方を説明していきます。








①プロット作成

なんでもいいので紙を用意し、クライアントさんの要望、もしくは自分がこれから描こうとしているテーマやモチーフを大きく書き出します。
テーマやモチーフが持つ意味を調べ尽くして全て書き出します。花であれば本数や咲き方や色にによって花言葉も変わってくるので、そのへんも調べておきます。 東西南北、上下左右によって吉凶も変わってきますし、数(エンジェルナンバーやソウルナンバー)も大事です。考えられる限りの事は全て調べて書き出します(意味は無いと思っても知識として蓄えられるのだという事を意識して)。

情報だらけの精度の高いメモ帳みたいなものが出来上がったら、 そこから意味合いを抜粋しつつ、デザイン全体の構成や配置を考えます。 クライアントさんがいる場合には、好きな色や数字も予め聞いておくと、使うかどうかは別として、困った時には有効に働く事があります。何事も用意周到に、です。
「自分はこう描きたいンだ」「こんな表現がしたいンだ」という気持ちなんかも忘れないうちに全て書きます。荒々しく!とかクールに!とか、思い付いた事は何でもかんでもメモします。
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(デザイン時に使う道具達。毎回これら全てを使うワケではありませんが、一式用意するとこんな感じです)








②ベース絵

デザインする上で最も基礎となる部分。本格的に細かく絵を描くのは当然あり、ただの落描きみたいなものでも、全体の構図や流れをハッキリさせておく為にも重要です。漫画家さんで言うところの「ネーム」のような存在です。大まかな位置だけを決めるだけでも非常に有効です。

要は「自分が分かればいい」です。ちゃんとした絵を描いてもいいし、線や円だけを並べるだけでもOKです。場合にはよってはベース絵を描かない事もしばしばありますが、依頼デザインの場合はクライアントさんに構図を確認してもらう為に必ず描きます。
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(大雑把に全体の形や流れを描く)








③下描き

ベース絵をトレースしつつ、細部を描いていく行程です。トライバルといえば「白黒」が基本のようなスタイルですが、着色する場合は後で困らないようここで色分けもおこなってしまうのもありです。

ツイートでは書きましたが、円(曲線)を描く際には紙を回転させてあらゆる方向・角度に視点を変えながら描きます。パッと見では綺麗な円形が描けたとしても、視点を変えると妙に楕円形になっていたり、曲線ではなく直線っぽくなっていたりするものです。何度も視点を変えながら、何度も描き直しながら一つの曲線を生み出します。

デザインに行き詰まったら画像検索で似たようなテーマやモチーフを探しましょう。色んな作品を見て、盗める所はトコトン盗みましょう。丸パクりは駄目ですが、描き方を真似る・盗むのはいい事です。大切なのは「100%描き切ること」です。筆が止まって頭を抱えている時間があるなら、いくらでも参考資料に頼ってください。

ちなみに、ここまでの行程ですが、お会いした絵描きさん達には「そんなに細かく順序立てて描いてるの!?凄い!」と言われますが、私に言わせればベースも下描きも無しで描けるあなた方のほうが100倍凄いです。
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(ベース絵をトレースしながら細かい部分を作成)








~準備~

下描きが終わると、次の行程へ進む前に、それまで使っていた画材の清掃やデスクの掃除をします。定規類は洗剤で洗い、トレーサーは研磨スポンジで磨きます。デスクの上の消しカスや余計な紙は捨て、除菌シートで吹いて準備OKです。
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(全て綺麗に掃除した状態)








④ペン入れ

下描きしたデザインをトレースし、ミリペンでなぞっていきます。最も神経を使う行程です。修正を見越した描き方をするので、完成時は線がヨレヨレで全体的に下手くそなものが出来上がります。人に見せたくない状況No.1です。使用するミリペンはCOPICかRUSHONの0.03です。
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(ベタ塗りや修正を見越した上でミリペンでなぞった状態。線もガタガタで非常に汚い…)








⑤ベタ塗り

塗りつぶし作業です。ペン入れの線からハミ出さないよう、0.05~1.0のミリペンを使います。塗りつぶす範囲の広い箇所は一旦保留しておいて、後でまとめて0.3や0.5等ペン先の太いもので一気に塗ります。場合によってはCOPIC sketchでガッツリ塗る事もあります。滅多にしませんが、黒以外で着色する際もCOPIC sketchを使います。

自分で描いておきながら「ここを黒で塗るとこっちは白になるから、空間が空いて今度はこっちが黒で…あれ?でもそうするとここも黒に…あれ?どうなってンだ?」となる事の多い行程です。アホですね。








⑥加筆/修正

主な作業は修正です。YASさんのトライバルデザインの中で最も大事な行程です。
インクが薄い箇所を描き(塗り)直したり、紙の凹凸によって歪んだ線を直したりです。直線はより直線に。曲線は綺麗なカーブを描くように。ルーペを用いてマイクロ単位で修正していきます。

加筆に関しては、少し物足りないと思う部分に線を足してみたり、修正が済んでから点描を描き込んだりです。黒以外の着色もこの時に行う事が多いです。この行程が全て済んだらデザイン完成となります。
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(全ての行程終了。完成。かなり前の作品なのでまだ全体的に粗いですが、画像サンプルとして登場してもらいました)








他にも、細かい描き方やこだわりもあったりするのですが、それはまたの機会にと思います。

いや、でも、コレ見てくれてる人いるのかな…?